パスタ常備食材7選|元イタリアンシェフが選ぶ本格パスタの脇役
パスタは、実は「ちょっとした趣味」にぴったりの料理です。
ニンニクを叩いて、オイルに香りを移して、茹で上がりに合わせてソースを仕上げる。たった15分のキッチンに、手を動かす楽しさがぎゅっと詰まっています。
イタリアンの厨房に15年立ち、今は食の商品開発に携わる私が、自宅に必ず置いているのが今回の「常備食材」です。冷蔵庫に中途半端な野菜しかない夜でも、買い物に行かずに本格的な一皿が作れます。
パスタは「脇役」で決まる
同じ食材でも、塩・火加減・タイミングを整える(=調律する)だけで、味は驚くほど変わります。パスタで押さえたいポイントは3つです。
- 茹で湯の塩加減(麺にしっかり下味をつける)
- 茹で上げのタイミング(ソースと合わせるベストな状態)
- 味を決める「脇役」の食材
1と2は慣れてしまえば難しくありません。あとは脇役の組み合わせ次第。大がかりな仕込みも、何時間もの煮込みもいりません。今回は、私が切らさず置いている7つを、プロの調律ワザと一緒に紹介します。
パスタ常備食材7選
1. 1.6mmのスパゲッティーニ(イタリア産)
まずは1.6mmがおすすめ。オイル系もトマト系も軽めのクリーム系もこなす、ちょうどいい太さです。裏面で「イタリア産」を確認すると、デュラム小麦の香りとコシをしっかり楽しめます。
茹で時間は、袋の表示より30秒短くが目安。よく「1分早く」と言われますが、家庭の火力だと芯が残りすぎることが多いんです。30秒早く上げてフライパンへ移し、ソースと絡めながら仕上げましょう。
2. エクストラバージンオリーブオイル(普段使い用)
日本の醤油にたとえると分かりやすいです。普段の料理には大容量の醤油、お刺身や卵かけご飯には少し贅沢な一本、ですよね。オリーブオイルも同じです。
炒めたり乳化させたりする普段使いは、1L・1,500円以下で十分。惜しまずたっぷり使えることが大切です。こだわりの高級オイルは、仕上げ用に小瓶で別に持っておくと完璧です。
3. ニンニクと鷹の爪
ペペロンチーノの心臓部です。スライスでもみじん切りでもOKですが、芯は必ず取り除いてください。焦げやすく、雑味の原因になります。
そして香りを最大限に引き出すプロの裏ワザが「叩き潰す」こと。縦半分に切って芯を取ったニンニクを、アイラップ(または厚手のビニール袋)に入れ、スパイスの小瓶などで体重をかけて叩きます。細かく潰れて香りが一気にオイルへ移り、まな板も手も汚れません。
4. ツナ缶(オイル漬け or 水煮)
肉も魚もない夜の頼れる味方です。コクを出すならオイル漬け、さっぱり仕上げたいなら水煮でどうぞ。オイル漬けは缶汁ごとフライパンへ。旨味が溶け出しているので、そのままソースのベースになります。
5. ダイストマト(紙パック or 缶)
潰す手間がなく、短時間で仕上がるカットトマト一択です。紙パックはゴミ捨てが楽、缶は安いのでコスパ重視向き。短い加熱でもフレッシュな酸味が残り、10分でソースが完成します。
6. ケイパー(酢漬け)
アンチョビも美味しいのですが、家庭では使い切れず冷蔵庫の奥で眠りがち。その点ケイパーは小瓶で長持ちします。スプーン1杯で酸味・ほのかな苦味・塩気が加わり、味の輪郭がキリッと立ちます。ツナやトマトと合わせると一気に本格的です。
7. パルミジャーノ・レッジャーノ(粉状)
仕上げのコクを決める一品。スーパーの粉チーズも手軽ですが、こだわるなら専門店や通販の粉状パルミジャーノ(またはグラナパダーノ)を。業務用の粉状を冷凍しておけば、削る手間もなく、スプーンですくうだけです。
7つだけで作れる15分パスタ3選
余った野菜(キャベツ、ブロッコリー、きのこなど)があれば、茹で上がる直前の鍋に入れて一緒に茹でるだけ。手間なく具沢山になります。
① 失敗しにくいツナ・ペペロンチーノ
(ニンニク+鷹の爪+オリーブオイル+ツナ缶)
ペペロンチーノ最大の壁は、オイルと茹で汁の乳化です。そこでツナ缶を丸ごと投入。ツナの繊維と油分が天然のつなぎになり、多少乳化に失敗しても、とろりとソースが絡みます。
② 黄金比のシンプル・トマトパスタ
(オリーブオイル+ニンニク+ダイストマト+パルミジャーノ)
半割にして潰したニンニクをたっぷりのオイルで弱火にかけ、色付いたらトマトを加えてさっと火を通します。
味付けのコツは、塩を「量る」こと。トマト缶1缶(約400g)に対して、0.7%の塩(2.8g)。これだけで味がぴたりと決まります。茹でたパスタを和え、仕上げにパルミジャーノを振れば完成です。
③ 香り際立つ万能アラビアータ
(ニンニク+鷹の爪+オリーブオイル+ダイストマト+ケイパー)
叩き潰したニンニクをオイルで熱し、色付いたら種を除いた鷹の爪とトマトを加えます。最後にケイパーを入れて完成。軽く刻んで入れると、酸味と香りがソース全体に行き渡ります。
おまけ:冷凍バゲットで、食卓がもっと楽しくなる
バゲットをスライスして冷凍しておくと便利です。パスタを作る横で、凍ったままトースターへ。カリッと焼けたら、皿に残ったトマトソースやニンニクオイルを拭って食べましょう。それだけで小さなごちそうです。
好きな音楽をかけて、焼きたてのバゲットと出来立てのパスタを並べる。ワインを注げば、自宅のキッチンがあたたかいビストロに早変わりします。
おわりに
キッチンに立つ時間そのものが、1日のごほうびになる。この7つを揃えておけば、思い立った夜に、気軽に「ちょっと本格的」を楽しめます。
まずは次のお買い物で、パントリーに揃えてみませんか? 慣れてきたら、塩の量やニンニクの香りの出し方を少し変えて、自分だけの一皿を探してみてください。それも料理の楽しみのひとつです。
あわせて読みたい
この記事を書いた人
ジェラート職人(OEM商品開発も担当)・ソムリエ・元イタリアンシェフ(現場経験15年)。くわしくはプロフィールをご覧ください。
